今回は、第7代中華民国(台湾)総統、蔡英文氏の紹介だよ!
(画像出典:公式Facebook頁より)
台湾初の“女性”総統
日本の報道では「女性初の総統」、「女性リーダー」という枕詞で語られることが多いが、これは日本のジェンダー格差が依然として残っていることを如実に表している。台湾の国会議員の女性比率は4割強で、そのような取り上げ方もあまりされない。又、自身が独身であることに関して、セクシャリティやプライベートな質問には一切答えないとしている。2004年、民主進歩党に入党し、2006年から行政院副院長(副首相)を務めた。2012年の総統選では敗北も、2016年5月、総統に就任。
11人兄弟の末っ子、縁故なし
1951年8月31日、台湾・台北生まれ。客家と原住民族「パイワン族」の血筋を引く裕福な過程の11人兄弟の末っ子。「英文」という名前はパイワン族名に由来して付けられたが、中国後では「英語」という意味。政治家とはしては極めて珍しく、一族に政治家の縁故を持たない、完全に生え抜きで総統にまで上り詰めた人物だ。
欧米経験が豊富な法律の専門家
台湾トップの国立台湾大学法学部を卒業後、1980年にアメリカのコーネル大学ロースクールで法学修士、1984年にイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士を取得。帰国後は大学教授となり、その後行政院の閣僚として故李登輝元総統のブレーンを務めたことにより頭角を表すこととなった。英語での国際会議もお手の物だ。
サブカルに明るい、ニックネームは「小英(英ちゃん)」
メガネとボブカットがトレードマークで、ニックネームは「小英(英ちゃん)」。自身をモデルとした「3D小英」(3Dの英ちゃん)というキャラクターを民主進歩党の公式キャラクターにしている。過去には台湾のコミケ(同人誌即売会)に来場して話題を呼ぶなど、若者文化やポップカルチャーに理解があり、若い人からも厚い支持を得ている。尚、好物は焼きビーフンと庶民派。
突出した情報発信力とメディア戦略
控えめな性格ながらも、冷静で論理的、芯の通った発言に定評のある蔡氏。日本の政界では考えられないほど、SNSを駆使し、自らの言葉で情報発信することを重視している。台湾で利用者の多いFacebook、Instagram、Twitterだけでなく、Youtubeでも蔡英文氏名義の公式番組が運営されている。サムネイルやデザインも若者に受け入れやすい体裁をとっており、若年層の指示は圧倒的。2021年に起こった中国の台湾パイナップル輸入禁止の際にも、巧みに各SNSプラットフォームを駆使して、国内だけでなく日本を含む海外諸国にも、エモーショナルに台湾パイナップルを宣伝するなど、その活動は極めて戦略的でしたたか。
アジア初の同性婚を合法化
2019年5月、自身の選挙公約通り、アジアで初めて同性婚の合法化を実現させた。同性婚に関する特別施行の当日17日朝には、自身のツイッターに「新たな歴史をつくり、東アジアに進歩的な価値が根付いたことを示すチャンスだ」と後押しするメッセージを投稿した。20年5月には、「ちょうど1年前、結婚の平等が現実のものになり、太陽がより明るく台湾を照らした」とツイートしている。
大の動物好き
大の動物好きと知られ、動物愛護関連の活動にも非常に熱心。現在も迷い猫だったメスの「想想(英語名:クッキー)」とオスの「阿才」、盲導犬を引退した犬3匹と一緒に暮らしており、彼女のSNSに頻繁に登場して、蔡氏の日常の表情が垣間見える。庶民的な印象を獲得するのに一役買っている。
親日家でSNSで日本語投稿
彼女の経歴はあくまで欧米中心ではあるが、日本のことは国家戦略上、非常に重要なパートナーと認識しており、”親日家”という印象を日本にアピールすることにも熱心。ツイッターやインスタグラムなどでは中国語だけでなく、英語や日本語でも情報発信をしている。日本で災害等の国家的なできごとがあったり、有力政治家の進退などには必ず日本語でメッセージを出している。日本語の発信には、日本・台湾両方から多くのコメントが寄せられ、日台間の親密な国民感情の醸成につながっている。
日本でも大人気オードリー・タン氏を閣僚に起用
日本でも大人気で“天才IT大臣”と世界中から注目を集めるオードリー・タン氏をデジタル担当大臣に起用した。彼女はトランスジェンダーであることを公表し、中卒でもある彼女の異色の経歴を評価しての大抜擢。蔡氏の政治原則である「自由・民主・人権」を真に体現する人物として、蔡政権の中で象徴的な役目を果たしている。又、その突出したデジタル技術分野での見識から、コロナ初期には、いち早くマスク在庫可視化システムを民間の力を活用して構築するなど、その手腕は内外から高く評価されている。
新型コロナウイルスの封じ込めに世界で最も成功
コロナの封じ込めに世界で最高レベルで成功。2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の反省を踏まえ、初動から先手先手で対応策を導入。感染拡大初期には、マスクの輸出・持ち出し禁止、在庫可視化システムを構築し、国民にいち早くマスクを行き渡らせることに成功。海外からの入境者に関する水際対策対しても厳しい外出制限措置などを当初から実施し、累計完成者数が諸外国とは比較にならないほど少ない。また日本などの友好国の医療従事者向けにマスクを寄贈するなど、やはり一方上手をいく政治家である。
非常にバランス感覚が取れた政治家として評価されているよ!
蔡英文総統の腹心、次期総統の最有力候補と言われている頼清徳氏についても知っておこう!
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