台湾はジェンダー平等の分野で一步も二歩も日本の先を行っています。東日本大震災時大きな支援以来、台湾を身近に感じるようになった方も多いと思います。意外かもしれませんが、台湾は90年代にはいって漸く政治制度が民主化しました。それ以来、ジェンダー・女性運動が活発になり、現在ではアジアにおいてはリーダー的なとしての地位を築きつつあり、それを国家戦略と捉えている側面もあります。
台湾では同性婚ができるの?
はい、できます。忘れもしない2019年5月17日(金)、台湾で同性婚法案が可決され、翌週24日(金)より同性婚が可能になりました。それから2年弱の間に、約5000組の同性カップルが結婚しており、法案可決前に反対派が主張していた各種(口に出すことも憚れるような非常識な)問題は顕在化しておらず、ただただ自分の家族をもてる人が増えただけで、それ以上でもそれ以下でもありません。
台湾はどうやって同性婚を実現したの?
同性婚法案可決の2019年5月17日から遡ること2年、2017年に日本でいう最高裁判所のあたる機関にて、同性婚に関する憲法解釈が行われ、同年5月に「同性カップルに婚姻の権利を認めない法制度は違憲状態」という発表がされています。これに基づき、台湾の立法機関である立法院に対して、2年以内に法改正する旨が言い渡されました。しかしながら、安心したのも束の間、その後反対派によって画策された国民投票で反対票が賛成を上回るなど、一時は実現が心配されました。
逆に日本では、強く反対する人は少ないような?
結果的には当初の違憲判断自体が覆ることはなく、蔡英文総統率いる与党民進党の強い推進もあり、予定通り2019年5月に、アジアで初めての同性婚実現した国家となりました。
僕は台湾人の彼と結婚できるの?
残念ながら、できません。少なくとも2021年4月現在、婚姻届が受理されない状況にあります。これは現行の渉外法46条にて、一方が外国人の場合は、外国人側の本籍国での登記も必要とされていることによるものです。同性婚実現までの間、多くの政治的な活動(デモ、集会やパレート等)が賛成派、反対派の両方で繰り広げられていて、私も機会があるたびにその様子を固唾を呑んで見守っていました。当然、同性婚が実現したあかつきには、僕もいよいよ夢に見た結婚!と思っていたのですが、国際結婚については、母国で同性婚が可能な外国人とのみ可能というのが現状です。
他にも、養子についても、同性婚の場合はどちらかと血縁関係がある場合のみ認められる形となっており、完全な婚姻の平等が実現したとは言えない状況です。
台湾人の彼と結婚するための選択肢は?
台湾で結婚するためには下記の2つの選択肢があります。
①渉外法の法改正:日本を含む同性婚が実現していない外国人との結婚を可能にするためには渉外法の改正が必要で、その法改正を待つ案。すでに修正草案はできているものの審議の時期は未定です。
②台湾国籍の取得:こちらは、僕が台湾人になる案。ただし国籍取得は、台湾に継続して5年間住んでようやく申請権が発生するもので、僕が今から台湾に引っ越したとしても5年以上の年月を要することになります。
国際同性婚は、台湾では「跨國同婚」と呼ばれ、同性婚実現後も残された残課題と共に優先順位の高い課題として各支援団体が現状打開にむけた活動を続けています。台湾は近代に入ってから政治が民主化したこともあり、日本にくらべて国民の政治活動への参画意欲が段違いに高いです。権利や不平等是正は主張して戦って獲得するという風土が根付いており、有力団体の推進力には眼を見張るものがあります。
最新の動き(2021年5月追記)
2021年5月6日、台北の高等裁判所にてマカオ籍と台湾籍カップルが婚姻届を受理されないのは不当だとして国を訴えた裁判で、原告の勝訴判決が言い渡されました!これを受けて、どのように行政が対応するのか、今後の動向が注目されます。
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