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【ゲイに不寛容な国】シンガポールの暮らし【現地レポ】

LGBTQ+

大家好!一條心です。ゲイです、シンガポールに暮らして6年弱になります。みなさんにとって、シンガポールは、どのようなイメージでしょうか。前回の記事#お国柄編では、先進的なイメージとは裏腹に、ゲイに対しては不寛容なお国柄なんですよというお話をしました。今回は、そこに暮らすゲイの実際の暮らしにもう少しフォーカスしてみようと思います。

ゲイに不寛容な国、シンガポールでゲイとして生きるとは

高いカミングアウトのハードル―超絶村社会

HDBという言葉をご存知ですか?HDBとはHousing Development Boardの略で、シンガポール政府が開発する団地です。国民の8割がHDBに住んでいます。少し話がそれますが、このHDBをベースにした住宅政策は、国土が極小の都市国家にとっては非常に重要で、収容効率が非常によく、政府へのローン(給与天引き、一部企業負担)で購入することができるため、ほとんど全てのシンガポール人が購入することができます。不動産が高騰して、大多数が一生持ち家を持てない香港とは状況が大きく異なります。ただ大規模な団地に多くの世帯が暮らしますので、それが相互に生活を助け合うシンガポールの社会保障制度の仕組みでもあるのですが、自然と周囲の干渉は多くなります。日本の田舎にも引けをとらない、いやそれ以上の超絶村社会と言えるかもしれません。しかも今の50-70代のシンガポール人はいわゆるベビーブーム世代で7人兄弟、8人兄弟なんてのもザラです。親戚の数が総じて多い為、お正月のお年玉の出費額が尋常じゃないという話はよく聞きます。シンガポール人がカミングアウトして暮らすハードルを日本に例えるなら、地方で親戚一族が全員同じ地区に暮らしていて、その中でカミングアウトするようなものなのだと想像します。

政府のレールに乗らないと受けられない様々な恩恵

HDBの仕組自体はみんな持ち家を持てて素晴らしいのですが、HDBは政府が設定したルールに基づき、国民に借地権付きで販売されます。このルールが非常にトリッキーで、ここでも個々の権利よりも国家全体の経済効率を最優先する政府の考えが全面に現れています。詳細のルールは省きますが、まず結婚前提でないと申し込めません。ですので、多くの若いシンガポールカップルは結婚を考え始めると、まずHDBの申込みをして、新築であれば数年後に引き渡しとなり、そこからようやく一緒に新居で暮らし始めます。もちろん、結婚が前提となっているので、結婚に至らない、もしくは離婚した場合購入することができず、頭金も戻りません

結婚できないゲイはどうするの?ずっと実家暮らし?

という質問に対しては、独身の場合は「何歳以上になると、どの大きさまでHDBは購入できる」という付随条件があります。もうその時点で二流国民扱いかよ!と思いますが、シンガポール政府の割り切りはすごいです。僕のゲイの友人は35歳になるのをまって2LDKの中古のHDBを購入していました。お金がある人は、HDBではなく、プライベートのコンドミニアムなどを買いますが、人生でHDBは一回しか購入権がなく先にコンドミニアムを買ってしまうと、HDB購入権がなくなったりします。あとは、両親のHDBから2km以内の距離に購入すると割引があります。これは親世代を子育てに積極参画させ、限られた国民のリソースをフル活用しようという考えに基づいているようです。国家運営を企業経営と同様に考えているのでしょう、とても戦略的です。

この国でゲイとして幸せに暮らせるかどうか?

に対する答えはそれぞれの当事者に結論を出してもらうとして、僕だったら、こんな政府のレール通りに人生を歩まないと恩恵を受けれない国でていってやるー!って思うはずです。でも、シンガポールという国が建国以来、継続的に経済成長を続けてきて、国民からしてみれば、仕事の機会も住居も提供され、だんだん生活が豊かになっている、それを政府が生活を保証してくれてる!という信用と安心感を醸成してきたのも事実です。(言い換えれば、生活豊かにしてやってるんだから、黙ってろ!ってことですね・・・)でも、そんな政府に信頼が厚い国、世界中見渡してもなかなか無いでしょう。

以上、「ゲイに不寛容な国」シンガポールでゲイとして生きるとは#暮らし編でした!

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