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【セクマイ】5分で分かるLGBT理解増進法案【要点整理】

LGBTQ+

最近メディアを騒がせている「LGBT理解増進法」。

与党自民党が今国会での成立を目指して審議中です。

どのような法律なのか・何が問題になっているのかを解説します。

LGBT理解増進法とは

自民党性的指向・性自認に関する特命委員会が法制化を進めている法案で、正式名称は「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」です。差別禁止を盛り込まず、あくまでもLGBTに関する基礎知識を全国津々浦々に広げることで国民全体の理解を促すボトムアップ型の法案とされています。すでに過去5年に渡り議論がされていますが、未だに法案として成立していません。(一般社団法人LGBT理解増進会より引用

差別禁止法との違いは?

理解増進法の目的は、あくまでもセクシュアル・マイノリティに関して、社会の理解を促し「寛容な社会の実現」を目指すとしています。差別の禁止や不利益を被る取り扱いの禁止が明記されていません。与党自民党は、差別禁止法としない理由に、①世論の理解が高まっていないこと②保守派との反発や対立を招く恐れがあることをあげています。

理解増進の何がだめなの?

LGBT理解増進法の施行によって、想定される弊害には下記のようなことあります。

①差別を合法的に放置させる
②同性婚やパートナーシップ制度の導入を阻害する

セクシュアル・マイノリティ当事者が必要としているのは、この日本の社会で生きていく上で被っている不当な差別や、不平等な取り扱いの是正(禁止)です。この法律が施行されても、性的指向や性自認をを理由に差別や不答な取り扱いを受けた場合も、加害者は処罰の対象とはなりません。被害者は加害者の理解が足りなくて残念でしたねと、むしろ合法的に差別や差別的取扱いが許されることになりかねません。

又、当理解増進法の内容は、地方自治体が独自に制定する同性パートナーシップ条例差別禁止条例の広がりに水を差す恐れがあると指摘されています。

しんロウ
しんロウ
これじゃあ、与党がやってる感を出すためだけの法律で、当事者には何の助けにもならないよ!

 

▶合わせて読みたい『パートナーシップ制度導入自治体数が100を超過!

法案にLGBT当事者らから「待った」の声

この法案を巡り、LGBTQ当事者ら有志グループが5月6日、『差別的取り扱いの禁止』が明記されておらず、性的マイノリティに関する世の中の動きを後退させる法案だ」と、会見で指摘しました。「理解増進」法案にとどめることで差別が放置されると有志らは訴えており、SNSなどでも批判の声が上がっています。この有志らの緊急声明には、わずか数日間で4千人以上の賛同者が集まりました。

 

本当に社会の理解は広まっていないの?

理解増進法が「まずは国民の理解が必要だ」としている一方で、LGBTQの人たちへの理解は社会の中で急速に広がっていることがわかっています。2019年の意識調査では同性婚を「賛成」「やや賛成」と答えたのは、全体の64.8%とその4年前に比べて13.6ポイント増加。性的マイノリティに対するいじめや差別を禁止する法律・条例の制定については、87.7%が「賛成」と答えました。

「10年、20年前のLGBTって何?という時代であれば、ある程度方向性を示すことにも意味があったかもしれません。しかし今は多くのメディアでも毎日のようにLGBTのことが報道され何も知らない状況を脱しています。理解を増進するという法律を作っても社会はおそらく何も変わりません。今必要なのは苦しんでいる人たちを救う法律だろうと思います」とヒューマンライツウォッチ日本代表の土井香苗氏は強調します。(HUFFPOST記事より引用

 

与野党合意の修正案の要点

「理解増進」を掲げてきた自民党と、「差別禁止」を求めてきた野党。5月6日のLGBT当事者ら有志の緊急声明と記者会見をうけて、10日に与野党での協議会が開かれ、14日に与野党で修正案が合意されました。

修正案では「基本理念」に「性的指向および性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下」という文言が追加されました。

野党側が求めていた「法律が、地方自治体がLGBTQ施策を作る妨げにならないこと」の明記や「国や地方自治体の施策策定を、努力義務から責務にする」ことを求めていました。しかしこの2点は反映されませんでした。

しかしながら、基本理念に「差別は許されない」と追記されたことで、ひとまず最低ラインの理念法として合意に至りました。

 

まとめ

当法案は国会で成立すれば、当法律は性的指向・性自認について定めた日本初の理念法になります。「地方自治体がLGBTQ施策を作る妨げにならないこと」や「国や地方自治体の施策策定を、努力義務から責務にする」ことなどが盛り込まれず100点とは言えない内容ですが、「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」と基本理念に盛り込まれたことには一定の進捗があったと言えそうです。

しんウサ
しんウサ
地方自治体でパートナーシップや差別禁止条例の制定が急速に広がっていて、国民の理解も浸透してきているだ。バトンは既に国会に託されているんだ。

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