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【台湾】台北の不動産価格が超高額な4つの理由【天龍国】

台湾で暮らす・学ぶ

日本人の行きたい旅行先No.1の常連台湾。その庶民的な雰囲気とは裏腹に、近年その不動産価格は東京都民もぶったまげる水準まで高騰しています。

その状況を揶揄して、人気漫画『ONE PIECE』作中での「世界貴族」の別称である「天竜人」にちなんで、台北市のことを天竜国(台湾での表記は天龍国)、台北市に住む人を天竜人(天龍人)と呼ばれています。

どれぐらい高いの?

まず最新の2021年4月台北路線図の駅ごとの(路線図は新北市を含む)の新築マンション価格(坪単価、単位は万台湾ドル)を見ていきましょう。

(画像出典:MY HOUSING

図が細かいので、興味のある方は拡大して詳しくご覧ください。

尚、台湾の坪面積は日本と同じ3.3平方メートルです。ただし、日本のマンションと比較する場合には、台湾のマンション面積には凡そ3−4割程度(物件による)の公共部の割かけが含まれていることに留意しましょう。日本の場合は、ベランダや廊下、ロビー等の面積は個別の表示面積に含みませんよね。台湾の面積表記はその割かけ分が含まれています。日本の坪単価と比較する場合はこの価格から×1.3−1.4程するのが適当でしょう。

・台北駅(首都ターミナル駅)
85−150万台湾ドル/坪⇒332万−586万円/坪

・大安森林公園(白金や松濤のような高級住宅街)
125-255万台湾ドル/坪⇒469万−996万円/坪

・台北101(東京タワー的な存在)
110−275万台湾ドル/坪⇒430万−1,074万円/坪

上記主要駅では、おおよそ日本の最高峰である六本木・赤坂・銀座のような水準です。中心部から電車で30分ほど離れると、60−80万台湾ドル/坪⇒234万ー312万円となり、これでも山手線の丸の中ぐらいの相場ですね。東京の中心部でこれですから、台北のマンション価格は日本の東京以外のどの都市よりも遥かに高いと言えます。

 台湾の所得水準は新卒月収で10万円、全年代の平均年収で230万円程度と日本のざっくり半分です。当然、平均住宅価格が年収の何年分に相当するかという統計では、2019年のデータで、台湾は28.91年(世界第3位)です。ちなみに1位は香港の49.42年、2位は中国の29.09年、日本は11.25年で51位です。台湾に比べると日本人は非常にマイホームが入手しやすいです。

台湾では台北で普通の会社員をしていたら、一生働いてもトイレくらいしか買えないと言われています。(台湾でトイレだったら、香港はトイレすら買えないことになりますが…)。

①不動産信仰による投機的な購入(需要↑)

台湾の土地・住宅などの不動産の価格は1999年の「921大地震」をきっかけに下落し、2003年の「SARS」によって底打ちました。その後、台北の不動産価格は2001年から2018年までの間で実に2.8倍に高騰、賃貸に出した場合の表面利回りは1〜2%前後程度です。所得水準との乖離が大きいので、低利回りは当然ですね。日本では超都心の新築マンションでも利回り1〜2%と物件はほぼないでしょう。

こんな利回りでどうして買う人がいるの!?と日本の不動産に慣れ親しんだ人は疑問に思うでしょう。そこは台湾人(華人全般)の強烈な不動産・住宅信仰により、投機的な購入が加熱しているためと考えられます。華人文化では、家を構えて経済的に独立して一人前(成家立業)と昔から言われてきました。先の所得と住宅価格の統計で、トップ3を香港・中国・台湾が独占していることからも頷けるでしょう。

平均所得は低水準の台湾ですが、富裕層の層は非常に厚いです。「台商」と呼ばれる海外で活躍する台湾人経営者が中心ですが、中国大陸からの投資も増加傾向にあります。中国大陸からの投資には規制がありますが、名義替えなどの手法で中国大陸で工面してきた資金を使い、台湾人の名義で不動産を購入するルートが存在しています。

②住宅用地が少なく、台北一極集中 (供給↓)

そもそも住宅用地が少なく供給量が限定的という問題もあります。台湾はおおよそ九州ほどのサイズですが、富士山よりも標高が高い山があるなど、国土の大部分が山岳地帯となっています。住宅用地がそもそも少ないことも、住宅価格が所得水準に対して相対的に高額となる原因となっています。

こと台北に限って言えば、台北市内の面積は更に限られており、その不動産価格がまさに“天龍人しか住めない”に次元に達しています。そのため、隣接する新北市などでもベッドタウンとして、台北の価格に引き上げられる形で高騰が続いています。

③金融政策(需要↑)

2008年にはリーマンショックがありましたが、当時の政権が政策金利を始めとして相続税や贈与税を引き下げたことから、住宅市場への投資が増え、不動産価格の高騰を後押しすることとなりました。コロナ禍においては、リーマンショックのときの経験もあり、台湾が感染拡大封じ込めに成功していることも後押しして、不動産価格が下落する要因とはなっておらず、引き続き上昇傾向を維持しています。この傾向は個人の住宅購入に限った話ではく、法人として金融機関や保険会社は台湾の不動産を長期的に見て低リスクな投資と考えており積極的な投資を続けています。

④地価と建築コストの高騰(原価↑)

不動産価格を決定する要素は、需給バランス建築コストです。日本でも同様の価格高騰が起こっているように、建築資材(砂・鉄筋・コンクリート)や石油価格が上昇傾向にあります。又、住宅需要が引き続き旺盛なため、地価も高止まりした状態が続いており、建築原価高騰が直接価格に反映される構図が変わりません。

番外編:外国人は台湾で不動産を購入できる?

できます。ただし、台湾では外国人が不動産を購入する際に、国籍別に購入可能な用地、購入後の用途に制限があります。日本人は、建設用地や住宅用地などいずれの土地も購入することできます。ただし、土地の用途や面積、場所については、購入地の地方政府の各種法令の制限を受ける場合があります。また、林地や漁業地、狩猟地、塩性地、鉱床、水源地、要塞や軍備区域やその周辺の土地は購入することができません。

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