海外展開の足がかりにされれることも多い台湾市場。
台湾に拠点を設けている日系企業は実に1100社以上に上り、増加傾向にあります。
台湾市場への進出を検討し始めた方向けに、外資として台湾に事業進出する際にとりうる会社設立形態の選択肢について解説します。
台湾市場進出のための会社設立形態
1.代表者事務所
⇒いわゆる駐在員事務所で、外国人駐在員を台湾に派遣することができます。営業活動はできませんが、現地での市場調査・宣伝・訴訟対応等が行えます。
✔本格進出前の事前調査のために駐在員を派遣させたい場合
✔現地販売代理店・子会社が別にあるが、派遣員を現地の調査・宣伝目的のために独自に派遣させたい場合2.連絡事務所
⇒代表者事務所(駐在員事務所)と似た形態だが、機能が本社との連絡や調整に限定されるため、現地での市場調査や宣伝業務を行う場合には、代表者事務所が適している。
3.工事事務所(法人格なし)
⇒インフラ建設関連工事など、期間限定で台湾で営業し税金納付の対応手段として利用する形態4.支店(法人格あり)
⇒現地法人と同様、営業や販売といった経済活動が可能。現地法人と異なり、支店の責任は海外本社が負う必要があります。また、活動資金は海外本社から支店への送金が求められます。5.有限責任組合(法人格あり)
⇒外資系企業の子会社としては、現地法人が選択されることが一般的だが、会計やコンサルティングなど、専門知識が要求される分野で設立が可能(比較的小規模な事業を想定)
6.現地法人(法人格あり)
⇒「無限公司」「両合公司」「有限公司」「股份有限公司」の4種類が存在する。最も一般的に採用される会社設立形態。詳しくは次の章で見ていきます。
現地法人の種類
日本企業を含む外資系企業の多くが、現地法人の中の有限会社か株式会社の形態で会社設立を行う傾向があります。又、製造業で台湾に工場を設立する場合もこの現地法人が適応されます。ただし、台湾で工場を設立する場合の所在地は「一般工業区」「加工出口区」「科学工業園区」と呼ばれる地域に限られます。
よくあるQ&A
最後によくある質問を紹介します。
1.会社形態により税制はかわる?
株式会社も支店も法人税率は一律20%、営業税も5%と同じです。駐在員事務所など、営業活動ができない形態では、法人税・営業税が発生しませんが、給与などは源泉税の対象となり申告・納付が必要です。
2.外国人の法人設立時の留意点は?
台湾の会社法では、出資比率の30%以上を外国籍の個人または法人が占める場合、外資系企業となります。外国人の投資に関しては、台湾の「外国人投資条例」の規定に基づき、経済部投資審議委員会による審査を受ける必要があります。外資規制となっている分野は国防、安全、考案、通信等の公益的な業種です。又、出資比率のうち中国資本が占める比率が直接、間接をに関わらず30%を超える場合には、「大陸陸人民来台湾投資許可弁法」の規定に従い投資可否が審査されます。
3.資本金の最低制限はありますか?
ありません。ただし、外国人を台湾に派遣する場合には、その就労許可を取得するために、資本金要件が50万台湾ドル以上に設定されています。又、その更新には年間営業額が300万台湾ドル以上が条件となっています。外国人を派遣して現地で事業運営する場合には、初年度から事業が軌道に乗るよう、しっかり事前準備を行うことが必要です。
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