大家好!一條心です。シンガポールに住んでいるゲイです。昨年9月、東京都足立区議会で、「日本人が全部L(レズビアン)、G(ゲイ)になってしまったら、足立区は滅んでしまう」という趣旨の発言をして炎上したことは覚えていますか?なんとその足立区で2021年4月1日からパートナーシップ・ファミリーシップ制度が開始されました。炎上発言からわずか半年、驚きのスピードで導入に至った経緯を振り返ります。今回は、文春オンラインから近藤やよい足立区長のコメントを引用させていただいています。
LGBTで「足立区が滅びる」発言からわずか半年
区長のリーダーシップと初動の速さ
まず、制度のスピード導入に至った最大の要因は、近藤区長の初動の速さによるものが大きいでしょう。
近藤区長:単なる一区議の発言の域を超えて、足立区役所、ひいては足立区民まで(白石区議と)同じ考えなのではないかと問われかねないような状況で非常に危機感を持ちました。
近藤区長は当時の状況を一区議の発言を超えて「足立区は性的マイノリティを排除する地域なのか」ということが問われている状況だったと振り返り、炎上発言からすぐに当事者意見交換会を3度開催し、ヒアリングを行っています。
近藤区長:自分の人生を振り返って、性的マイノリティの方と出会ったという経験がなくて。でも、いろんな講座で「周りにいても気が付いていないだけだよ」と聞いてから、もしかしたら私は「この人には打ち明けられないな」という感覚を相手にあたえてしまっていたのかなと思うようになりました。(中略)「(足立区は)決して住んでいて怖い場所じゃない」という姿勢をはっきり示さなければならないなという思いで、パートナーシップとファミリーシップ制度を導入することにしました。
LGBTQに関する施策の検討遅れに関しては、「当事者の声を聞いたことがなかったので、機が熟していないと考えていた」と正直に反省の意を示されています。そして、当事者との意見交換会を経て、当事者が声を行政に届けることさえ高いハードルがあることだと理解していただいたようです。
近藤区長:政治家として、今ここで姿勢を示さないと
政治家による差別発言は今に始まったことではないですし、往々にして謝罪して終わり。御託を並べて謝罪にすら至らないこともありますね。今回の足立区議の差別発言においては、区長のリーダーシップがあり、政治家として、選挙公約を守る、区民への約束を守るということを、いち早く行動で示された好例と言えそうです。
近藤区長:私も政治家ですからね。(白石区議と)同じ認識を持っていると思われることは許せないです。私にも私の考え方があって、それはいろんな人が安心して住める、そんな自治体を作ること。そのために選挙を戦い、区長をやっているわけですから。かっこつけているわけではありませんが、そんな私があの発言を許し、同調しているかのように誤解されることは、どうしても許せない部分がありますね。
声を届けることの重要性
日本人は政治に無関心だとよく言われますね。悪い意味で、政治・行政への期待値が低く、自分たちの声を届けてもどうせ実現してもらえないと最初から諦めている節があります。人権やマイノリティについては殊更、声を上げること≒カミングアウトであり、声をあげること自体に大きなハードルがあります。LGBTQに関しては欧米の先行事例を参考にする流れもあり、当事者以外の支援者のことを「アライ」と呼び、当事者以外の支援者の輪を広げる活動も積極的に展開されています。僕は当事者として、少しでもLGBTQ関連の話題に関心を持って、そして“アライ”になってくれる人が増えたら良いなという思いで、コラムを書いています。政治家が皆、足立区の近藤区長のように真摯に国民の声に傾けてくれる姿勢をお持ちであればいいのですが・・・。日本も捨てたもんじゃない、と多くの当事者が思える社会にできればいいですね。
以上、東京都足立区の区議による差別発言から半年での「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」スピード導入の振り返りでした。
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