【男にも真珠】ジェンダーフルイドな美しさにみる新市場開拓戦略【ミキモト】

LGBTQ+

皆さんこんにちは、一條心です。
今日はミキモトの美しい真珠で目の保養をする回です。
まずうんちくなしで、あなたがどのように感じるか考えてみて下さい。

まずは、見て下さい。

どうでしょう?
僕は、えっこれミキモト公式?っていう感想を持ちました。

真珠のミキモト。言わずとしれた老舗ジュエリーブランドですね。真珠ミキモトというブランド女性のイメージが強く、(伝統的な)女性らしさを強調するアイテムとして認識されている節があります。高品質な真珠は目が飛び出る価格帯なので、富裕層のマダム、母から娘へ、何代も受け継がれていく、というのがミキモトの真珠のイメージです。

このインスタグラムの投稿にはこうありました。

My Pearls, My Style,Future of Change
時代を変えるふたりのパール。
ミレニアルズを代表するモデルたちがペアで登場。
“ジェンダーフルイド”な美しさが際立つミキモトのパールジュエリーによって覆された、パールの新たな価値観や魅力とは?

「パールの新たな価値観や魅力」

この文言が意味することは、ミキモトが従来の主要顧客である富裕層の女性以外の顧客にも好かれるブランドになりたい、ということ。圧倒的に品質がいい商品は、簡単に買い替えません。電化製品ではないので、技術的な劣化もなく、何世代も受け継いでいける商品です。それが価値であるのですが、そんなこといってたら商売上がったりです!

女性客以外となると男性向け、ということで、過去にも男性向けの真珠ジュエリーというのはミキモトも何度か挑戦したことがあるようですが、それほど認知を獲得してるとは言えません。しかし、昨年から始めたコム デ ギャルソンとのコラボレーションをきっかけに、男性モデルの積極登用しています。日本向けは、千葉雄大さんを起用してます。かわいいです。

 

試行錯誤の末?目指すべき方向は、男性向け真珠ではなく、ジェンダーを問わない真珠。

My Pearls, My Style,Future of Change
個性に呼応する、パールの魅力。
ミレニアルズを代表するモデル6人による、
多彩なスタイリングを公開中。

これは、ミキモトの中の人(マーケティングや広告宣伝担当者)が社内を説得するのに相当な苦労した様子が目に浮かびます。
僕の現職でも社内で幾度となく同じような議論がありました。新しい顧客層にアプローチしようとすると必ず、既存のマジョリティ、収益の大半を得ている層の顧客離れを起こすのでは、という反対意見が発生します。いくら数値的に正しい戦略だと根拠を示しても、いざブランドの話になると、ブランドアイデンティの根幹にか関わる為、慎重な議論を要する!とする保守派が多数出現します。(これは同性婚を頑なに議論しようとしない保守派の政治家と全く同じですね)なので老舗になればなるほど、トップの鶴の一声が無い限り新しいことに挑戦するのが難しいのです。

“老舗”
“伝統”
“真正性(真実で正しい)”

これらは僕が魅力を感じるコトやブランドのキーワードで、結局のところ伝統とか老舗とかという言葉は「その蓄積された信頼と技術で、品質が保証されている」ということですね。そういう基準で僕も今の会社を選びました。日本にはこの言葉にマッチする企業やブランドがたくさんあります。

その価値に基づいて、製品やサービスを作る事自体は何も間違ってい無いと思います。でも社会や顧客はどんどん変わっているんです。正直、ミキモトの価格帯の商品を若い世代の人にアピールしても、購買力が追いつかないので、短期的な売上には直結しにくいし、売上の大半は中高年の富裕層(既存顧客層)である構図は簡単には変わらないでしょう。それでも、それを覚悟した上で、このように年齢・ジェンダーを問わないブランドになるという方針を打ち出しているには「ブランドが高齢化していく」という強烈な危機感があるんでしょうね。

僕は、応援したいと感じました。
あなたはどうですか?

最後に、海外向けのカッコいい男性モデルのビジュアルで、もう一度目の保養をしてしめたいと思います!

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